2026年1月14日|20分
才能と生きづらさ。前を向くヒント——10代と20代、ふたりに聞く(Part1)
ゲスト: アメリさん(中学2年生) 、土屋夏美(株式会社リバネス 研究開発事業部)
10代と20代、ふたりのギフテッドなゲストをお迎えし、中高生のための学会「SIENCE CASTLE」の会場にて収録。おひとりは、公益財団法人ベネッセこども基金とリバネスとの共催のD&I賞(自分自身の特性やマイノリティ性に着目したあらゆる開発や研究)の研究費に採択された愛知県教育大学附属名古屋中学校2年生のエバート亜芽里さんです。もうおひとりは、株式会社リバネスの研究開発事業部の土屋菜摘さんです。
早くから「才能がある」と見なされる一方で、学校や日常の中で感じていた“生きづらさ”や孤独、周囲とのズレ——。本エピソードでは、いわゆる「ギフテッド」と呼ばれる特性(強い知的好奇心、突出した得意領域、感覚や思考の鋭さ など)を手がかりに、当事者の経験から「前を向くヒント」を掘り下げます。
※ここでの「ギフテッド」は診断名や優劣を示す言葉ではなく、便宜的に用いています。なお、ゲストの背景はそれぞれ異なり、医療・専門家の評価を受けているケースも含みます。
- サイエンスキャッスルはどうですか?
- 「話し方」の研究をし始めた
- 家族からの指摘で気がついた自分のクセ
- 周囲とのズレ
- 目を合わせると話ができない
- 学校の成績は良い
- 瞬間記憶(写真のように記憶する)
- 親も合わせて
- 短期記憶が追いつかない
- 目からの情報、耳からの情報
- 一般的な能力値と標準偏差の3倍の差がある
- 悩んで論文を読み始めた
- 両親から教わったこと
- 「自分の中」での能力の差
- アインシュタイン的な・・・
- 内と外の二重のギャップを抱えるということ
この回の内容
中高生のための学会「サイエンスキャッスル2025」(東京科学大学大岡山キャンパス)の会場で収録された回の前編。ゲストは中学2年生のエバート・アメリさんと、株式会社リバネス研究開発事業部の土屋夏美の2人。エバートさんはベネッセとリバネスが共催する「名もなき困りごと」当事者研究のリサーチグラント(サイエンスキャッスル研究費)に応募・採択され、「人と話すときに話が飛ぶ・前提が抜けると指摘される」という自身の困りごとを研究テーマにしている。小学校高学年の頃から家族に話し方を指摘され始め、友人との会話を避けるようになった経緯を語る。自身の特性を分析する中で、検査における言語理解の数値が平均を大きく上回る一方、ワーキングメモリーは平均域にとどまるというギャップを発見し、「考えられる量に対して記憶し順序立てて説明できる容量が追いつかず、話の内容が飛ぶ」という仮説にたどり着いた。もう一人のゲスト土屋はADHD・ギフテッド気質を持ち、人と目を合わせて話すと会話の内容が記憶できなくなる一方、試験問題では頭の中の教科書をめくるように答えを引き出せるフォトグラフィックメモリーを持つと明かす。両親から「人の話を聞いていない」と評価され、保護者面談で親が責められる経験もしたという。両者に共通するのは、特定の能力が突出する一方で別の能力が伴わないという「自分の中のギャップ」が、相手に伝わらないという「対人的なギャップ」と同時に襲いかかる二重のつらさである。
この回でわかること
「話が飛ぶ」と指摘される原因は何だと考えたのか?
アメリさんは自身の特性を分析する中で、検査における言語理解の数値が平均を大きく上回る一方、ワーキングメモリーは平均域にとどまるというギャップを発見した。考えられる量に対して、記憶し順序立てて説明できる容量が追いつかず話の内容が飛ぶ、という仮説にたどり着いている。
この当事者研究はどんな枠組みで行われているのか?
ベネッセとリバネスが共催する「名もなき困りごと」当事者研究のリサーチグラント(サイエンスキャッスル研究費)に応募・採択され、自身の困りごとを研究テーマにしている。収録は中高生のための学会「サイエンスキャッスル2025」(東京科学大学大岡山キャンパス)の会場で行われた。
人と目を合わせると話が覚えられないとはどういうことか?
株式会社リバネス研究開発事業部の土屋夏美はADHD・ギフテッド気質を持ち、人と目を合わせて話すと会話の内容が記憶できなくなると明かす。一方で試験問題では、頭の中の教科書をめくるように答えを引き出せるフォトグラフィックメモリーを持つ。
突出した能力があることの何がつらいのか?
特定の能力が突出する一方で別の能力が伴わないという「自分の中のギャップ」が、それが相手に伝わらないという「対人的なギャップ」と同時に襲いかかる、二重のつらさがあると語られる。
話したトピック
- サイエンスキャッスル2025会場でのゲスト紹介
- 会場の熱気と当事者研究への挑戦
- 話が飛ぶ・前提が抜けるという困りごとの自己研究
- 「名もなき困りごと」当事者研究リサーチグラント(ベネッセ×リバネス)
- ギフテッドとADHDという特性
- 言語理解とワーキングメモリーの数値差という発見
- 目を合わせると話が入らない土屋の特性とフォトグラフィックメモリー
- 2つのギャップが同時に襲う感情的なつらさ
この回の発言から
家族に指摘され始めてから、ちょっと話し方に苦手意識を持ち始めてしまって。話飛んでるよみたいな、ちょっと言われたくないなって思って
私はそれが143。平均が100なんですけど……標準偏差が15で、その3倍くらい離れてて、だいぶその差があるので。……けど、そのワーキングメモリーっていうのは普通ぐらい
考えた中でそれを全て記憶できないから、話した内容が飛ぶ
私はそのギフテッドの方に分類されて、何か一つのことはすごくズバ抜けてできるのに、それ以外のことは本当に対象外というか興味の持てない分野になっています
特に目を合わせて話すときに、目を合わすことに集中してしまって、話が全く入ってこない。本当に右から左という感覚で
その文章を見た時に、頭の中で教科書がペラペラめくれていきます。……本棚があって、教科書を取って、その中からペラペラめくっていって、その問題の書いてある部分にたどり着いて答えを書く
自分の中で処理できていないギャップと、相手に伝わっていないギャップが同時に襲ってくる
このシリーズのエピソード
才能と生きづらさ。前を向くヒント——10代と20代、ふたりに聞く
- Part1: 才能と生きづらさ。前を向くヒント——10代と20代、ふたりに聞く(Part1) (このページ)
- Part2: 才能と生きづらさ。前を向くヒント——10代と20代、ふたりに聞く(Part2)