2026年1月21日|19分
才能と生きづらさ。前を向くヒント——10代と20代、ふたりに聞く(Part2)
ゲスト: アメリさん(中学2年生) 、土屋夏美(株式会社リバネス 研究開発事業部)
10代と20代、ふたりのギフテッドなゲストをお迎えし、中高生のための学会「SIENCE CASTLE」の会場にて収録。Part2。おひとりは、公益財団法人ベネッセこども基金とリバネスとの共催のD&I賞(自分自身の特性やマイノリティ性に着目したあらゆる開発や研究)の研究費に採択された愛知県教育大学附属名古屋中学校2年生のエバート亜芽里さんです。もうおひとりは、株式会社リバネスの研究開発事業部の土屋菜摘さんです。
早くから「才能がある」と見なされる一方で、学校や日常の中で感じていた“生きづらさ”や孤独、周囲とのズレ——。本エピソードでは、いわゆる「ギフテッド」と呼ばれる特性(強い知的好奇心、突出した得意領域、感覚や思考の鋭さ など)を手がかりに、当事者の経験から「前を向くヒント」を掘り下げます。
※ここでの「ギフテッド」は診断名や優劣を示す言葉ではなく、便宜的に用いています。なお、ゲストの背景はそれぞれ異なり、医療・専門家の評価を受けているケースも含みます。
- 人の2倍のギャップを感じることも
- 切り離せない「私」という人間
- サイエンスキャッスルワールドではつらくない
- 目を合わせられないハンディを能力でカバー
- 映像の記憶はどうなっているかというと・・・
- 人の顔が覚えられない
- 話の飛躍や前提抜けについて
- 生成AIのつかいどころ
この回の内容
「サイエンスキャッスル2025」会場収録の後編。エバートさんは、話が飛んでしまう特性は「自分という人間である以上変えられないもの」と受け止め、無理に周囲に合わせるのではなく「自分と合う人を探す」方向に転じたことで、同じように突出した個性を持つ参加者が集まるサイエンスキャッスルを「辛くない場所」と感じられたと語る。土屋も、自分にとっての「普通」(試験問題を見ると頭の中の教科書をめくって答えを引き出せること)が他人には通用しないと知った時の衝撃や、似た境遇の人に出会えなかった孤立感を振り返り、突出した特性を持つ者同士が集まる場の価値を語る。エバートさんは、時間に1分でも遅れると心が乱れるという特性が父親と共通していたことから自分の非典型性に気づいた経緯や、学校の同級生とはある程度話が通じる一方、大人や似た境遇の人と話すことで自信を得てきたことを話す。土屋は、相手と目を合わせると話の内容を記憶できないという課題に対し、会話を俯瞰視点の動画として記憶し後から再生して理解するという独自の対処法を編み出したと明かす。エバートさんは動画記憶ではなく「話の最後の文に注目する」という国語的な技法で対応しているという。二人とも人の名前や顔を覚えられない点は共通していた。エバートさんは、論理の飛躍・前提抜け・曖昧表現・情報過剰/省略・焦点のずれなど6項目で自身の発話を分析し、生成AIを使って客観的に指摘してもらう研究を進めており、将来的にはリアルタイムでフィードバックするデバイス開発を目指すと語った。土屋は、日常に潜む会話の課題を構造化して研究するエバートさんの姿勢を「人類の中で一歩進んでいる」と称賛し、対談は温かい雰囲気で締めくくられた。
この回でわかること
変えられない特性とどう付き合うのか?
アメリさんは、話が飛んでしまう特性を「自分という人間である以上変えられないもの」と受け止め、無理に周囲に合わせるのではなく「自分と合う人を探す」方向に転じた。その結果、同じように突出した個性を持つ参加者が集まるサイエンスキャッスルを「辛くない場所」と感じられたと語る。
目を合わせると話を覚えられない特性にどう対処しているのか?
土屋夏美は、会話を俯瞰視点の動画として記憶し、後から再生して理解するという独自の対処法を編み出した。アメリさんは動画記憶ではなく「話の最後の文に注目する」という国語的な技法で対応している。二人とも人の名前や顔を覚えられない点は共通していた。
自分の発話をどう研究しているのか?
論理の飛躍・前提抜け・曖昧表現・情報過剰/省略・焦点のずれなど6項目で自身の発話を分析し、生成AIを使って客観的に指摘してもらう研究を進めている。将来的にはリアルタイムでフィードバックするデバイス開発を目指すという。
似た境遇の人に出会える場には何の価値があるのか?
土屋は、自分にとっての「普通」が他人には通用しないと知った時の衝撃や、似た境遇の人に出会えなかった孤立感を振り返り、突出した特性を持つ者同士が集まる場の価値を語る。アメリさんも、学校の同級生とはある程度話が通じる一方、大人や似た境遇の人と話すことで自信を得てきたと話す。
話したトピック
- 「辛い場所」より「自分と合う人」を探すという選択
- サイエンスキャッスルが安心できる居場所になった理由
- 自分にとっての「普通」が他人と違うと気づいた衝撃
- 父親との共通点(時間へのこだわり)から見えた自己理解
- 学校内と学校外での対人関係の違いと自信の獲得
- 目を合わせると話を覚えられない特性と動画記憶という対処法
- 話の最後の文に注目するというエバートさんの技法
- 6項目による発話分析と生成AIを使った研究・デバイス開発構想
この回の発言から
これは切り離せるものでは絶対なくて、私という人間がこういう人でいる以上、それはもうどうしても変わらないものっていう風に捉えてて
人と無理に合わせるよりは、自分と合う人を探していこうかなと思ってて
私にとってはそれが普通なんですけど、普通じゃないことを知った時の衝撃が大きくて。他の人はじゃあどうやってテストを解いているんだろうっていう疑問になりました
その飛び抜けたところをきっと理解してもらえない子たちが集まると、自分が仲間外れじゃないんだっていう、自分が他の人と違うところがマイナスじゃないんだって思える空間として
学校の先生に、人の話を聞くときは目を合わせなさいと。そんな酷なこと言わないでくれとずっと思ってはいたんですが
動画として覚えてしまえば、録音して聞き直せるんじゃないかという発想にいたり
視点は自分ではなく、斜め上の防犯カメラの位置の映像で思い出す。俯瞰して見ているように記憶して、それを思い出しています
私はもう再生とかじゃなくて、最後の文に注目するっていう方法で私はやってるんですけど。もう全部は覚えてられなくて。……基本的に質問とかするときは結局最後の文か最初の文に、言いたいことが全て詰まってるっていう。国語と同じ形式なんですけど
このシリーズのエピソード
才能と生きづらさ。前を向くヒント——10代と20代、ふたりに聞く
- Part1: 才能と生きづらさ。前を向くヒント——10代と20代、ふたりに聞く(Part1)
- Part2: 才能と生きづらさ。前を向くヒント——10代と20代、ふたりに聞く(Part2) (このページ)