2026年2月25日|20分
驚くべき10代の当事者研究って?-中学生と高校生に聞く(Part2)
ゲスト: 鈴木さん(高校3年生) 、平岩さん(中学3年生)
中高生のための学会「SIENCE CASTLE 2025」の会場にて収録。10代のお二人の「当事者研究」について掘り下げます。自らの体験をどのように「研究」につなげているのでしょうか。(2 of 2)
佼成学園高等学校3年生の鈴木 真理さん『入院中の中高生に特化した感情を理解できるAIの開発』は、「人と社会の関わりから健康を考える、ありとあらゆる研究」を対象としたアステラス製薬賞に選ばれています。
岡山県立倉敷天城中学校3年生 平岩いぶ季さん『個々人の「一文字を認識する向き」と「文章全体を読む方向」の関係を研究する』は、「自分自身の特性やマイノリティ性に着目したあらゆる開発や研究」を対象とした公益財団法人ベネッセこども基金のD&I賞に選ばれています。
- 脳の手術のはなし
- 縦書きと横書きの個人差
- タテとヨコを変換するカメラアプリ
- 「本当にそういうふうに見えているの!?」
- 人によって違うアタリマエ
- 病室は暗くて、人もいない
- 過去と他人は変えられないから自分のプロダクトをつくる
- 研究は孤独だが、専門性をぶつけ合う場が楽しい
- 入院中にプレゼンを作っていた
- カメラアプリに詳しいメンター募集中
- いろんな専門分野の人たちと議論したい
この回の内容
サイエンスキャッスル2025会場から、当事者研究に取り組む中学生・高校生ゲスト2人との対話の後編。冒頭、鈴木さんは脳の手術ができる病院が限られ、家から2時間かかる遠方の病院で面会は平日午後15分以内、1か月の入院で家族に会えたのは3回だけだったという過酷な入院環境を語る。平岩さんは、ひらがなを四角形に並べ「たこ焼き」「黄緑」「木登り」「たい焼き」とどの方向からでも読める表を使った実験を紹介。24名中13名が左上から右へ読むなど偏りが見られたといい、案内役はデザイン分野で言われるZ型・N型の視線移動の法則と結びつけ、縦読みが読みやすい人の存在はユニバーサルデザインの観点でも重要だと応じた。平岩さんは今後、縦書きと横書きをリアルタイムに変換し自分の読みやすい向きにしてくれるカメラアプリを開発したいと構想を語る。鈴木さんは、病室の暗さや医療現場の人手不足など入院の実態が世間にほとんど知られていないことに触れ、心理学の交流分析における「過去と他人は変えられない、だからこそ自分が変わっていこう」という考え方を自身のプロダクトに当てはめたと述べた。2人はベネッセこども基金のD&I賞に採択されており、鈴木さんはWi-Fiのない病室から携帯のテザリングで応募資料を作り上げたという逸話も明かされる。今後の展望として、平岩さんは練習効果を抑える実験方法の改良とアプリ実現に向けた専門家との交流を、鈴木さんは医療従事者への臨床試験から入院中の中高生・患者への展開、そして社会実装を目指すと語り、専門性をぶつけ合い熱い議論ができる学会という場の価値を確認して締めくくられた。
この回でわかること
入院中の面会はどれくらい制限されるのか?
鈴木さんは、脳の手術ができる病院が限られ、家から2時間かかる遠方の病院で面会は平日午後15分以内、1か月の入院で家族に会えたのは3回だけだったという過酷な環境を語る。病室の暗さや医療現場の人手不足など、入院の実態が世間にほとんど知られていないことにも触れる。
読む方向の実験ではどんな結果が出たのか?
平岩さんは、ひらがなを四角形に並べ「たこ焼き」「黄緑」「木登り」「たい焼き」とどの方向からでも読める表を使って実験した。24名中13名が左上から右へ読むなど偏りが見られたという。案内役はデザイン分野で言われるZ型・N型の視線移動の法則と結びつけ、縦読みが読みやすい人の存在はユニバーサルデザインの観点でも重要だと応じた。
研究の先に何を作ろうとしているのか?
平岩さんは、縦書きと横書きをリアルタイムに変換し自分の読みやすい向きにしてくれるカメラアプリの開発を構想する。鈴木さんは、医療従事者への臨床試験から入院中の中高生・患者への展開、そして社会実装を目指すと語る。
プロダクトの発想を支えた考え方は何か?
鈴木さんは、心理学の交流分析における「過去と他人は変えられない、だからこそ自分が変わっていこう」という考え方を、自身のプロダクトに当てはめたと述べる。
2人の研究はどこで評価されているのか?
ともにベネッセこども基金のD&I賞に採択されている。鈴木さんは、Wi-Fiのない病室から携帯のテザリングで応募資料を作り上げたという逸話も明かされる。
話したトピック
- 面会制限下での過酷な入院生活
- ひらがな表を使った読み方向の実験結果
- Z型・N型の視線移動とユニバーサルデザイン
- 縦書き・横書きをリアルタイム変換するカメラアプリの構想
- 知られていない入院環境の実態
- 交流分析の考え方のプロダクトへの応用
- ベネッセこども基金D&I賞の受賞と入院中の応募
- 臨床試験から社会実装への展望と学会という議論の場の価値
この回の発言から
1ヶ月間入院して、会ったのが3回だけという。入院する日と退院日と手術当日、移動するベッドに乗られながら、頑張ってねと泣き叫ぶ母がいた感じですね
もう照明も暗くて……これの10分の1ぐらいの部屋の明るさ。……少なくとも脳腫瘍で入院した1軒2軒3軒ぐらいはそれぐらいの明るさで
小児科内科と軽く200名300名ぐらいがいる病室で、ずっと電気をつけているというのは今電気代も高騰していますし。……今の現状はあまり変えられないのかなという。人を増やすことも難しいし、ナースさんも含めてドクターの方も増やすのが難しい
過去と他人は変えられない。だからこそ自分が変わっていこう、自分の気持ちを変えていこうというような考えがありまして、その考えを僕のプロダクトに当てはめた形になりますね。
24名の方にやってもらったら、たこ焼き、左上から右の方は13名。次に多かったのが左上から下へのたい焼きという感じで、結構その偏りが出て
縦書きの文章を読み込んだら横書きにしてくれるみたいな感じで、自分にとって読みやすい方向にしてもらえるアプリとかが開発したいなって考えてます。
皆さんそれぞれ自分の信念があって意見があって、だからこそ熱い議論ができる。発表して終わりだけでなく、お互いに議論して、お互いの専門性をぶつけ合って、そこからお互いに新しい未来が見えてくる
このシリーズのエピソード
- Part1: 驚くべき10代の当事者研究って?-中学生と高校生に聞く(Part1)
- Part2: 驚くべき10代の当事者研究って?-中学生と高校生に聞く(Part2) (このページ)