2026年7月19日|22分
サウンドエンジニアの音のとらえ方 with 梅木ハジメ part3
業界で35年以上も活躍するサウンドエンジニア 梅木ハジメさん(株式会社TNT 代表取締役社長)をお招きし、「ライブのときサウンドエンジニアってなにしているの?」など、たくさんお聞きします。触れたことのない感覚に触れる、すごい音響雑談です。
- 野外フェスで「音のエリア」を設計する
- スピーカーの角度と音量で、音が届く境界をつくる
- 周波数ごとの届き方をシミュレーションする
- ディレイスピーカーが「嘘くさく」聞こえる理由
- 大規模会場は満員でも赤字かトントン?
- 大阪城ホールの音が気持ちいい理由
- 観客に気づかれないよう、少しずつ音量を上げる
- THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのライブで体感した「後半ほど大きくなる音」
- 100人のエンジニアがいれば、100通りの音がある
- 観客の顔を見ながら、盛り上がりの瞬間にギターを上げる
- サウンドエンジニア自身が泣きそうになる瞬間
- バンドの音は、マネージャーやディレクターともつくられる
この回の内容
シリーズ最終回のパート3では、鹿児島から東京に拠点を移した梅木ハジメ氏が全国のフェス現場で活躍し始めた話を入り口に、ライブ音響の設計と現場の裏側を深掘りする。野外フェスでは「音のエリアを作る」という発想で、どこまで音を届けるかをプランニングし、ステージ上のスピーカーの角度と地面への落とし方によって、ある距離から先では音が人間の耳の高さ(約1800mm)より下に落ちるよう設計する。スピーカーの吊り方や周波数帯域ごとの届き方は専用のシミュレーションソフトで事前に確認できることも紹介した。大規模会場のディレイスピーカーについては、メインのL/Rスピーカーから直接届けたい梅木氏の美学から「嘘くさい」と感じると本音を語りつつ、距離のあるドームでは必須で、音速(約340m/s)を踏まえた時間調整の専門家がいることを解説。仕事は人づてや事務所経由で広がること、かつて毎晩あった打ち上げ文化がコロナ以降と経費事情で減ったこと、武道館クラスの公演でも収支は赤字かトントンでグッズで利益を合わせる構造、深夜0時までに音響機材を撤収するバラシの実情など、興行の裏側にも話が及んだ。会場では大阪城ホールの「無駄な反射がないほどよい鳴り」がお気に入りだという。後半は、観客に気づかれないよう少しずつ音量を上げる「スニークイン」の技を紹介。原体験として、鹿児島で見たTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTのライブで後半ほど音が大きくなり高揚した経験を挙げた。100人のエンジニアがいれば100通りの音があり、観客の顔色を見て盛り上がりポイントでギターを上げるなどの挑戦もする一方、自身が高揚して泣きそうになる瞬間もあると明かす。バンドの音はマネージャーやレコード会社のディレクターとも一緒に作られるという意外な実態を語り、シリーズを締めくくった。
この回でわかること
野外フェスの音はどう設計されているのか?
「音のエリアを作る」という発想で、どこまで音を届けるかをプランニングする。ステージ上のスピーカーの角度と地面への落とし方によって、ある距離から先では音が人間の耳の高さ(約1800mm)より下に落ちるよう設計する。スピーカーの吊り方や周波数帯域ごとの届き方は専用のシミュレーションソフトで事前に確認できる。
ディレイスピーカーはなぜ必要なのか?
距離のあるドームでは必須で、音速(約340m/s)を踏まえた時間調整の専門家がいる。ただし梅木ハジメは、メインのL/Rスピーカーから直接届けたいという自身の美学から「嘘くさい」と感じると本音を語る。
武道館クラスの公演は儲かるのか?
収支は赤字かトントンで、グッズで利益を合わせる構造だという。深夜0時までに音響機材を撤収するバラシの実情や、かつて毎晩あった打ち上げ文化がコロナ以降と経費事情で減ったことにも話が及ぶ。
「スニークイン」とは何か?
観客に気づかれないよう少しずつ音量を上げる技である。原体験は、鹿児島で見たTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTのライブで後半ほど音が大きくなり高揚した経験にある。
バンドの音は誰が作っているのか?
エンジニアだけでなく、マネージャーやレコード会社のディレクターとも一緒に作られるという意外な実態が語られる。100人のエンジニアがいれば100通りの音があり、観客の顔色を見て盛り上がりポイントでギターを上げるなどの挑戦もする一方、自身が高揚して泣きそうになる瞬間もあると明かす。
話したトピック
- 東京進出後のフェス現場と仕事の広がり
- 野外フェスの「音のエリア」設計(スピーカーの角度で耳の高さ1800mmに音を落とす)
- 周波数帯域ごとの届き方を確認するシミュレーションソフト
- ディレイスピーカーが「嘘くさく」聞こえる理由と時間調整
- 打ち上げ文化の変化とライブの収支(武道館でも赤字かトントン、グッズで回収)
- お気に入りの会場・大阪城ホールの「ほどよい鳴り」とホールの調音
- 観客に気づかれず音量を上げる「スニークイン」とTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTの原体験
- マネージャーやディレクターとともにつくるバンドの音
この回の発言から
僕は、音ってエリアを作ってあげたらいいと思うんですよ
ステージの高いところから、角度の付け方、地面への落とし方で、ある距離まで行くと1800、耳の位置より下に音が行く
ディレイスピーカーって、僕、嘘くさいなと思うんですよね。だったら前に行ったら、みたいな。でもドームはしょうがないですよ。距離があるから
ライブの後半になって、気づいたら、めちゃくちゃ音がでかくなっている。でももう高揚しているから、それが気持ちいい。このエンジニア、やばいわと
100人エンジニアがいたら、100人、音が違うので
この曲のこの辺から泣きそうになるというか、高揚しちゃうっていうのがありますね。泣いたらだめだな、でもどうやったら泣くかな、っていう
このシリーズのエピソード
- Part1: サウンドエンジニアの音のとらえ方 with 梅木ハジメ Part1
- Part2: サウンドエンジニアの音のとらえ方 with 梅木ハジメ part2
- Part3: サウンドエンジニアの音のとらえ方 with 梅木ハジメ part3 (このページ)