2026年9月21日|21分
AIで農家の仕事はどう変わる? with 北海道の農家 とみやす Part2
北海道でブロッコリーやネギ、大豆などを育てる農家、とみやすさんを訪ねました。Part2では、農薬散布ドローンの「速い」と「向かない」の両面から、現場で試して初めてわかることを聞きます。岡山での棚田再生から北海道の大規模農業へ移った経緯、資材高騰や人手不足の中で新しい挑戦を受け入れるチームづくりへ。後半は、とみやすさんが実際のCodex画面を開き、農場のLINEで交わされる作業報告をデータベースへ自動整理する仕組みを見せてくれます。便利な仕組みを一つずつ形にし、現場の信頼をつくる過程を聞きます。
- 高濃度散布なら、ドローンは1ヘクタールを10分ほどで回れる
- 縦に伸びる長ネギには薬剤がかかりにくい――作物の形で変わる散布方法
- 1000リットル積めるトラクターと、70リットルのドローンを使い比べてわかったこと
- 岡山での棚田再生から、北海道で「稼げる農業」への挑戦へ
- 長ネギの規模を前年の約20倍へ――0から1を好むチームの文化
- 輸入資材の高騰と人手不足、年々厳しくなる農業の環境
- まず使える仕組みをつくると、次の挑戦がしやすくなる
- 農場のLINE報告をCloudflare D1に集め、Codexが毎日整理
- 農薬や肥料の作業記録をAirtableへまとめ、必要なときにチャットで確認
- 畑から帰ったあとにパソコンを開きたくない――次はモバイル完結へ
- バズる前に届いたOpenAIからのDMと、農業でのAI活用が見つかった経緯
この回の内容
北海道むかわ町の農場で収録した、農業法人WFPダチョウファーム農場長・冨安寛樹(X・noteでは「とみやす@北海道の農家」)を訪ねたシリーズのPart2。前回の続きでドローン散布の話から始まる。ドローン用の高濃度農薬は、トラクター散布の1000倍希釈に対して8倍・16倍で済み、水をほとんど運ばなくてよいので1ヘクタールを10分足らずで撒ける。ただし高濃度散布に対応した農薬はまだ少ない。さらに長ネギは縦に伸びる作物で薬剤がかかりにくく、横に広がるブロッコリーより大量に撒く必要があるため、今はドローンでもトラクターと同じ1000倍希釈で撒いている。積めるのがトラクターの1000リットルに対してドローンは70リットルなので、往復して詰め直すぶん時間がかかり、やってみて初めて「トラクターの方が早い」とわかった。中盤は農場の来歴。コロナ禍の2019〜2020年ごろ、岡山県で棚田の再生をしていたチームのメンバーと北海道へ渡って農業を始めた。棚田の再生は、いま一緒にやっている「ボス」が一人で始めた活動に仲間や若い移住者が集まったもので、そこから「稼げる農業」をやろうと農地を借りられる縁を得て北海道に来た。ボスはゼロイチの立ち上げが好きな事業家で、いまは農業に専念して長ネギの拡大に力を入れ、去年から作付けを20倍ほどに増やしている。元馬小屋のカフェのオーナーは、船会社・貿易会社を引退したのち農業を含むいくつかの会社を支える人物で、農地も資金もない一人では持てない環境がこの二人によって用意されていると冨安は語る。資材の高騰や円安、若い人の減少で農業を取り巻く環境は年々厳しくなる中、新しいことをチームに受け入れてもらうには、LINEからビニールハウスの温度を見られる仕組みのように「実際に使えるもの」を一つずつ作って認められることが必要だと述べる。後半は目の前のMacでCodexの画面を見せる場面。農場のLINEグループのやり取りを全部Cloudflareのデータベースに入れ、1日1回Codexのオートメーションで整理して、Airtableに「どの畑のネギの何回目に、いつどの農薬を撒いたか」を農業日誌として落とし込む。プロンプトはCodex自身が自然文で書いたもので、10日に1回といった散布のタイミングを忘れない、ChatGPTに聞けば記録が返ってくる、という効果がある。画像はGoogleドライブに入るようにした。一方、農作業から帰ってパソコンを開く気が起きず、最後の承認のためにCodexを開かなくなるのが次の課題で、モバイルで完結させたいと考えている。終盤はOpenAIとの接点。2025年12月、別の日本人の紹介でOpenAI本国のコミュニティ担当からXのDMが届き、Xで広まる前からやり取りをしていた、というところで次回に続く。
この回でわかること
ドローン散布は速いのに、なぜ長ネギではトラクターの方が早かったのか?
ドローン用の高濃度農薬なら8倍・16倍希釈で済み、水をほとんど運ばずに1ヘクタールを10分足らずで撒ける。しかし長ネギは縦に伸びて薬剤がかかりにくく、ブロッコリーより大量に撒く必要があるため、今はトラクターと同じ1000倍希釈で撒いている。ドローンは70リットルしか積めず、1000リットルを一度に撒けるトラクターに対して何度も往復して詰め直すことになり、やってみて初めてトラクターの方が早いと分かった。
冨安さんの農場はどんな経緯で北海道に来たのか?
コロナ禍の2019〜2020年ごろ、岡山県で棚田の再生をしていたチームのメンバーと北海道に渡った。棚田の再生は今の「ボス」が一人で始めた活動に仲間や若い移住者が集まったもので、そこから「稼げる農業」をやろうと、農地を借りられる縁を得て北海道で始めた。ボスはゼロイチの立ち上げが好きな事業家で、いまは農業に専念して長ネギを去年から20倍ほどに拡大している。
新しい取り組みを農場のチームに受け入れてもらうには何が必要か?
AIで何かをしていても、すぐに使える仕組みにはならないので「何をやっているんだろう」という目は感じる。LINEからビニールハウスの温度を見られる仕組みのように、実際に使えるものを一つ作ると、やっていることが少し認められて次の新しいことがやりやすくなる。一歩ずつ「これ使えるじゃん」と思ってもらう積み重ねが必要だと語っている。
Codexで農業日誌をどう自動化しているのか?
農場のLINEグループのやり取りをすべてCloudflareのデータベースに入れ、1日1回Codexのオートメーションが整理して、Airtableに「どの畑のネギの何回目に、いつどの農薬を撒いたか」を落とし込む。プロンプトはCodex自身が自然文で書いた。画像はGoogleドライブに入る。これで10日に1回といった散布のタイミングを忘れず、ChatGPTに聞けば記録が返ってくる。最後の承認は冨安が行うが、農作業から帰ってパソコンを開く気が起きないのが次の課題で、モバイルで完結させたいと考えている。
OpenAIとの接点はどう生まれたのか?
2025年12月、専門領域でChatGPTを使っている人のユースケースを探していたOpenAI本国のコミュニティ担当から、XでDMが届いた。農業でこんな活用をしている人がいると別の日本人が紹介してくれたのがきっかけで、ハウス自動化の投稿がXで広まる前からやり取りが続いていた。
話したトピック
- ドローン用高濃度農薬は8倍・16倍希釈で、1ヘクタールを10分足らずで撒ける
- 対応農薬はまだ少ない/縦に伸びる長ネギは薬剤がかかりにくい
- トラクター1000リットル対ドローン70リットル/やってみて分かった「トラクターの方が早い」
- 岡山県の棚田再生チームからコロナ禍に北海道へ
- ゼロイチが好きな「ボス」と、船会社・貿易会社を引退したオーナー
- 去年から長ネギの作付けを20倍に
- 資材高騰・円安・人手不足で年々厳しくなる農業の環境
- 「実際に使える仕組み」を一つずつ作って認められる
- LINEグループ→Cloudflare→Codexオートメーション→Airtableで農業日誌を自動生成
- 散布タイミングを忘れない/ChatGPTに聞けば記録が返ってくる
- 農作業から帰ってパソコンを開きたくない、次はモバイル完結
- 2025年12月、OpenAIのコミュニティ担当からXでDMが届いた
この回の発言から
1000倍が8倍とか16倍で済む。全然水がいらないんですよね
1ヘクタールとかが10分もかかんないくらいですかね
長ネギって縦に伸びる作物じゃないですか。なのでその分薬剤がかかりづらいんですよね
トラクターの方が早いっていう。それもやってみて分かったんですけど
メンバーの一部で今度はこう稼げる農業をやろうよっていう話になり、農地を借りれる人の縁があって、こっちで農業をやり始めたっていう経緯ですね
ゼロイチの立ち上げが大好きな人
例えば僕一人だとこういう農地とかまず持てないんで、資金もないですし
農業をやるための資材ってなんか輸入で成り立ってるところがあるので
実際使える仕組み作ると、やってることが少し認められて、次に新しいことやりやすくなるのかなっていう気はしてます
チャットを全部一旦Cloudflareのデータベースに全部ぶち込んで、それを1日1回Codexのオートメーションで情報を整理して
全部LINEチャットから1日1回Codexで整理する仕組み作れないかなみたいな。勝手に日報できてくんないかなみたいな
前いつやったか忘れると、なんかこうタイミングがずれてくるんですよね。でこう巻き遅れて病気や虫が出てきたりみたいな
農家さん多分どの農家さんもパソコン開きたくないじゃないですか
去年の12月にOpenAIの本国のコミュニティ担当をやってる方からXでDMが来て
このシリーズのエピソード
AIで農家の仕事はどう変わる? with 北海道の農家 とみやす
- Part1: AIで農家の仕事はどう変わる? with 北海道の農家 とみやす Part1
- Part2: AIで農家の仕事はどう変わる? with 北海道の農家 とみやす Part2 (このページ)