THE UPDATE

2026年8月7日|19分

うんこから健康がわかる? with うんこ博士 伊藤正樹 Part3

ゲスト: 伊藤正樹(株式会社メタジェン 腸内環境研究者)

うんこから健康がわかる? with うんこ博士 伊藤正樹 Part3

株式会社メタジェンで腸内環境を研究する「うんこのプロ」伊藤正樹博士をお招きして、うんこから一体何がわかるのか、たくさんお聞きします。Part3では、辛味成分と腸の関係からヨーグルト菌の定着、アルコール・肉・油との付き合い方、そして「うんこ研究の未来」まで。自分の体に合う食べ方を、毎日のうんこから考える腸内環境雑談です。

  • 消化されずに出てくる一味と、お尻が熱くなるカプサイシン
  • ヨーグルトの菌は「2週間ぐらいの契約社員」?
  • 腸内細菌のタイプから、定着しやすいヨーグルトを選べるかもしれない
  • 腸内細菌が分泌するメッセンジャーRNAを、私たちも受け取っている?
  • 菌だけでなく、食物繊維やオリゴ糖という「餌」も一緒に入れる
  • ごぼう100グラムでも食物繊維は約5グラム。穀物や海藻も組み合わせる
  • アルコールの適量は、酔いよりも「お腹を下さない量」で考える
  • 赤身肉とTMAOの話は、食生活全体の文脈で見る
  • 亜麻仁油やオメガ3脂肪酸も、合わなければ無理をしない
  • 腸内細菌叢のタイプと「お腹の強さ」は別の軸
  • うんこは残りカスではなく、毎日見られる体調のポートフォリオ
  • AIでも作れないうんこを、自分と向き合いながら良くしていく

この回の内容

株式会社メタジェンで腸内環境を研究する「うんこのプロ」伊藤正樹博士を迎えたシリーズのPart3。日々の食べ物と腸内細菌の付き合い方から、うんこ研究の未来までを扱う。まずは消化されずに出てくるものの話。コーンやひじきは煮込んでも食物繊維が強固で出てきやすく、一味は一ミリ四方の赤い粒のまま出てくるため、カプサイシンが残っていて辛いものを食べた翌日にお尻が熱くなる。辛味が欲しいなら、泡盛に島唐辛子を漬けてカプサイシンを抽出したコーレーグースを使う手があるという。一方でカプサイシンは腸のレセプターに結合し、腸内細菌が作るよく似た形の物質も同じレセプターを使って宿主のやる気に影響しているという報告がある。次にヨーグルト。菌は生きて腸まで届いてもしばらくすると帰っていく「ゲスト」で、いわば2週間ぐらいの契約社員だが、自分の腸内細菌のタイプからどの菌が定着しやすいかを見積もれるかもしれないという論文がNature Communicationsに出ている。腸内細菌はメッセンジャーRNAを分泌し、それが人の血中に入ることもわかっているため、良い菌がいればタンパク質の発現指令を受け取り続けていることになる。だからこそ菌だけでなく、食物繊維やオリゴ糖という「餌」もセットで入れる。食物繊維はスーパーの野菜ではごぼうが最も多いが100グラムで約5グラムにとどまり、穀物や海藻の比重を上げるほうが効く。腸内環境への影響が大きいのはアルコール・喫煙・年齢で、アルコールの適量は酔いではなく「お腹を下さないレベル」で考える。赤身肉とTMAOの話も、亜麻仁油やオメガ3脂肪酸も、食生活全体の文脈と自分のお腹との相性で見る。腸内細菌叢のタイプと「お腹の強さ」は別の軸だという。最後は、AIはうんこのイラストをいくらでも生成できてもうんこ自体は作れない、うんこは残りカスではなく毎日見られる体調のポートフォリオだ、という話で締めくくられる。

この回でわかること

辛いものを食べた翌日にお尻が熱くなるのはなぜか?

一味が消化されず、一ミリ四方の赤い粒のまま出てくるため。そこにカプサイシンが残っていて、粘膜に触れてしまう。それでも辛味が欲しい場合は、泡盛に島唐辛子を漬けてカプサイシンを抽出したコーレーグースなら熱さを感じないという。

ヨーグルトの菌は腸に住み着くのか?

生きて腸まで届いてもしばらくすると帰っていく「ゲスト」で、いわば2週間ぐらいの契約社員だと語られる。ただし自分の腸内細菌のタイプから、どのヨーグルトの菌が定着しやすいかを見積もれるかもしれないという論文がNature Communicationsに出ており、いまホットなトピックだという。菌を入れるだけでは「ゲストを呼んだ」だけなので、食物繊維やオリゴ糖という餌もセットで入れる。

食物繊維は野菜から取ればいいのか?

スーパーの生鮮コーナーの野菜で食物繊維が最も多いのはごぼうだが、100グラムで約5グラムにとどまる。緑黄色野菜を1日に手のひらいっぱい食べようというのはカロテンなどを取る文脈で、食物繊維としてはグラノーラや麦、麺といった穀物や海藻の比重を生活の中で増やすほうが効く。

アルコールや肉は腸内環境に悪いのか?

腸内環境への影響が大きいのはアルコール・喫煙・年齢だという。アルコールの適量は、酔いが回るレベルではなく「お腹を下さないレベル」で考えるとよい。赤身肉については腸内細菌がTMAO(トリメチルアミン-N-オキシド)を作るという話があるが、それは赤身や揚げ物に偏った食生活の文脈であり、食物繊維を取る生活ができていれば嗜好品として食べる程度でよいとされる。

うんこ研究の未来はどうなるのか?

うんこを「汚い」「残りカス」ではなく、発酵の結果として見るところへ落とし込んでいきたいと語られる。AIはうんこのイラストをいくらでも生成できてもうんこ自体は作れず、うんこは消化管と微生物の共同作業でしか生まれない。だからこそ、AIで何でもコピーされる時代にはうんこがその人のポートフォリオになるのではないか、という展望が示される。

話したトピック

  • 消化されずに出てくる一味とお尻の熱さ/カプサイシンのレセプターとやる気
  • ヨーグルトの菌は「2週間ぐらいの契約社員」/定着しやすい菌を腸内細菌のタイプから見積もる
  • 腸内細菌が分泌するメッセンジャーRNAを、私たちも受け取っている
  • 菌だけでなく、食物繊維やオリゴ糖という「餌」もセットで入れる
  • ごぼう100グラムで食物繊維は約5グラム/穀物・海藻の比重を上げる
  • 腸内環境への影響が大きいアルコール・喫煙・年齢/適量は「お腹を下さない量」で考える
  • 赤身肉とTMAO、亜麻仁油やオメガ3脂肪酸は食生活全体の文脈で見る
  • 腸内細菌叢のタイプと「お腹の強さ」は別の軸/AIでも作れない、体調のポートフォリオとしてのうんこ

この回の発言から

一味出てきますよ。辛いもの食べた後に、翌日とかちょっとお尻に熱を感じるっていう人とかは、一味の、一ミリ四方の赤いやつが出てきてるはずです
— 伊藤正樹
その腸内細菌が作る、またよく形が似た物質があるんですけど、それがそこにくっついて、僕たちこの宿主の方のやる気に影響しているという報告があるので、同じレセプターを使っているんです
— 伊藤正樹
自分の腸内細菌のタイプによって、どのヨーグルトの菌が定着しやすいかを見積もることができるかもしれないっていうのが、この間、Nature Communicationsに出てたと思います
— 伊藤正樹
菌も自分たちのお腹の中で、メッセンジャーRNAをバーッと分泌するんです、外に。で、それが僕たちの血中に入ってくることはわかっているので、常にお腹の中に良い菌がいたら、その良い菌から出てくるタンパク質の発現指令を、僕らもずっと受け取り続けているんですよね
— 伊藤正樹
菌が入ってきたら餌も一緒に入れてあげるというプロセスは、セットにしておいていただくと、いいと思います
— 伊藤正樹
スーパーの生鮮コーナーに売っている物で、食物繊維が一番多いのは、ごぼうです
— 伊藤正樹
自分にとっての、アルコールの量の適量は、酔いが回るレベルなのか、お腹を下さないレベルなのか、みたいなのは、ちょっと違っているはずなので、そこは、向き合っていただけるといいかなと
— 伊藤正樹
その人の人となりを一番分かるのは、このAIでいろんなものが、コピーで作られてしまう時代においては、一番うんこが、その人のポートフォリオになるんじゃないかな、と思いますね
— 伊藤正樹
正解のうんこから外れていても、時間をかければ正解のうんこに、戻していけるはずなので、そのプロセスは、自分を見つめ直す時間にもなるかなと思います
— 伊藤正樹

この回から生まれた記事

  • 短鎖脂肪酸を増やすには?

    腸内細菌が食物繊維から作る短鎖脂肪酸とは何か、なぜお酢を飲むのとは違うのかを研究者の説明から解説。ごぼうより穀物と海藻が効く理由まで。

  • ヨーグルトの菌は定着する?

    生きて腸まで届いた菌はそのまま住み着くのか。腸内環境の研究者が語る「菌はゲスト」という見方と、それでも毎日食べる意味、餌をセットで入れる理由を解説。

このシリーズのエピソード

うんこから健康がわかる? with うんこ博士 伊藤正樹